母が呼んだ鍵屋に開けられた私の金庫

haha_kagiya

私の母はいわゆる毒親だ。幼いころから私のことを洗脳し、コントロールしようとしてくる。私のすることなすこと全てにチェックを入れ、自分の思い通りに私が動かないとヒステリーを起こすのだ。そうして私を恐怖で支配し、私が逆らおうとすると今度は泣いて私に罪悪感を植え付ける。そんな風にして私はものの見事に母にマインドコントロールされてしまった。友達も母の気に行った子としか遊んではいけなかったし、着る服も私の好みではなく常に母の好みだった。
しかも友達との交換日記も母は私がいない間に盗み見しているようだった。日記の中で、私はその友達と親には内緒で新宿に遊びに行こうと約束していたのに、その日になって母は急な用事を入れた上に、もうその子とは遊んではいけませんと言ったのだ。私にはプライバシーがなかった。机には鍵付きの引き出しがあったけれど、鍵は母が持っていたし、部屋に鍵をかければこっぴどく怒られた。そこで私はホームセンターで安い金庫を買ってきて、そこに交換日記など母には見られたくない物を入れるようにした。

もちろんクローゼットの隅に隠して。

ところがある日学校から帰ると、その金庫が壊れていた。母がやったのだとすぐにわかった。私は母に泣きながら訴えた。どうしてこんなことをするのかと。すると母は悪びれもせずに言った。「私が壊したんじゃない、鍵屋さんに開けてもらったのよ。あなたは私の子どもなんだから、親がちゃんと子供の全てを把握してなきゃダメなのよ…」私はそのとき、母と一緒にいる限り、自由はないのだということを悟ったのだった。

あれから20年、私はまだ母と一緒にいる。就職先も結局母の知り合いの会社に入社させられた。もうすぐ40になろうとしているのに、私には男の人と付き合った経験もないし、未だに門限だってある。あの金庫が開けられてしまった日から、私は母の毒を注がれ続けているのだ。